ロボット支援手術・腹腔鏡手術を安全かつ円滑に行うための新規デバイスの開発
当科で開発を行っているデバイスを紹介いたします。ご興味をお持ちの方がいらっしゃいましたら、どうぞお気軽にお問い合わせください。
【連絡先】
所属:徳島大学病院泌尿器科 職名:助教
氏名:佐々木雄太郎
電話番号:088-633-7159
メールアドレス:yutaro_sasaki@tokushima-u.ac.jp
ヴァスガイド
ロボット支援手術・腹腔鏡手術で脈管を安全・円滑に確保するための新規デバイスです。
【発案・開発の経緯】
ロボット支援手術は、三次元視野と高い操作制度により、泌尿器領域を中心に急速に普及しています。
一方で、ロボット鉗子には触覚がなく、可動域にも制限があるため、**血管テーピング(血管をテープで確保・牽引する操作)**は依然として高度な経験を要する工程でした。
この課題を解決するため、徳島大学大学院 医歯薬学研究部 泌尿器科学分野では、現場のニーズに基づき、血管テーピングを安全かつ円滑に行うための新規デバイス「ヴァスガイド(Vas Guide)」を発案・開発しました。
【Vas guide(ヴァスガイド)】
ヴァスガイドは、ロボット支援手術における血管テーピングを術者単独・ワンステップで完結できるよう設計された世界初のデバイスです。
細径ステンレス構造により、耐久性・経済性・操作性を兼ね備えています。
先端部の「把持孔」と末端部の「テープ孔」という二つのシンプルな構造により、血管後面の通過からテーピングまでをスムーズに行うことを可能にしています。
知的財産権は徳島大学が単独で出願・保有しており、2024年に国内特許出願および意匠3件登録を完了、2025年には国際特許(PCT)出願も行いました。
この大学単独出願は、地方アカデミア発の知財創出モデルとして高く評価されており、公共性・学術性を重視した戦略的知財活動の一環です。
ヴァスガイドの独創性と臨床的有用性は高く評価され、以下の賞を受賞しました。
同年11月に徳島大学病院で臨床使用を開始し、2024年8月から国内販売が始まりました。
2025年10月現在、全国約80施設で導入されており、泌尿器科のみならず消化器外科・呼吸器外科など他領域への応用も広がっています。
今後はさらなる国内普及とともに、海外への展開を視野に入れ、世界のロボット支援手術の安全性と効率性の向上に寄与することが期待されています。

アシステントガイドおよびアシステントガイドショート
アシステントガイドは、ロボット支援体腔内回腸導管造設術における尿管ステント留置を安全・円滑に行うためのデバイスです。また、アシステントガイドショートは、女性における尿管ステントの留置を円滑に行うためのデバイスです。
【発案・開発の経緯】
ロボット支援体腔内回腸導管造設術における複雑なステップとして、回腸導管に尿管ステントを通す操作があり、各施設において様々な工夫がなされています。これには、主に2つの手法が知られています。その1つは、console surgeonが回腸導管に逆行性にロボット鉗子を通す手法です。触覚のないロボット鉗子を回腸導管に通すこの手法は、エキスパートならばさほど難しい操作ではないが、ビギナーにとっては危険を伴う操作です。もう1つは、patient side surgeonが回腸導管に逆行性に吸引管を通す手法です。この手法は、ビギナーでも比較的安全に施行可能です。しかし、吸引管は専用デバイスではなく、①吸引管先端が扁平で回腸導管内の輪状ヒダにひっかかりやすい、②吸引管先端には側孔を含む複数の孔があるため、ガイドワイヤーやステントが側孔に通ってしまう、③持ち手がなく操作性が悪いなどの問題点がありました。そこで、patient side surgeonが操作する、誰もが安全・円滑に尿管ステントを留置できるデバイスの開発に取り組みました。
【アシステントガイド】
アシステントガイドという名前は、尿管ステントの留置を安全・円滑に行うためのアシスタントとして重要な役割を果たして欲しいという願いに由来しています。全長390 mm、内径4 mm、外径5 mmのステンレス製のデバイスであり(図1a)、①先端が鈍・盲端で、導管内へやさしくスムーズに挿入できる(図1b)、②出口孔を側面に設けることで口径が大きくなり、patient side surgeonが容易に操作できる、③グリップにはローレット加工を施し、高い操作性をほこる(図1c)、という特長を持ちます。また、デバイスに設けられた10 mm毎の目盛りで、腸管などの長さを体腔内で測定することができます。
図1 アシステントガイド

アシステントガイドを用いた尿管ステントの留置に関する手術動画は右のQRコードから視聴可能です。
また、全長 160 mmのアシステントガイドショートも同時に開発しました(図2a)。
女性の尿管ステント留置において、閉塞部位の抵抗が強い場合、ステントの留置が困難となります(図3a)。このとき、無理に挿入しようとすると、膀胱内でガイドワイヤーやステントがループを形成し、留置がさらに困難となることがあります(図3b)。このような場合にアシステントガイドショートを用いると、先端の独自の形状(図2b)が尿管口にぴったりフィットし、ループ形成を防いで効率的に力が伝達され、留置が容易になります (図2c)。
【参考文献】
Sasaki Y, Takahashi M, Fukuta K, et al. Assistent guide: A novel device for ureteral stent placement in robot-assisted intracorporeal ileal conduit. Int J Med Robot. 2023 Aug;19(4):e2513. doi: 10.1002/rcs.2513.
図2 アシステントガイドショート

図3 尿管狭窄部で抵抗が強く、尿管ステントの挿入が困難な場合

アシステントガイドショートを用いた尿管ステントの留置に関する動画は右のQRコードから視聴可能です。
【本製品の発案から販売までの過程】
2021年1月、PMDAクラスⅠの医療機器として承認を得ました。2021年3月、臨床での使用を開始しました。2021年10月、販売を開始しました。
【参考文献】
Sasaki Y, Takahashi M, Daizumoto K, et al. Assistent guide short: A new device for facilitating ureteric stenting in women. Int J Urol. 2023 Nov;30(11):1051-1052. doi: 10.1111/iju.15252.


徳島大学大学院 医歯薬学研究部
