医工連携

ロボット支援手術・腹腔鏡手術を安全かつ円滑に行うための新規デバイスの開発

当科で開発を行っているデバイスを紹介いたします。ご興味をお持ちの方がいらっしゃいましたら、どうぞお気軽にお問い合わせください。

【連絡先】
所属:徳島大学病院泌尿器科 職名:講師
氏名:佐々木雄太郎
電話番号:088-633-7159
メールアドレス:yutaro_sasaki@tokushima-u.ac.jp

ヴァスガイド
ロボット支援手術・腹腔鏡手術で脈管を安全・円滑に確保するための新規デバイスです。

【発案・開発の経緯】
ロボット支援手術における「血管テーピング(血管をテープで確保・牽引する操作)」は、触覚の欠如と可動域制限から、高度な経験と助手との連携を要する危険な手技でした。
この課題を解決するため、徳島大学泌尿器科では、現場のニーズに基づき、術者単独で安全かつワンステップで血管テーピングを完結できる世界初のデバイス「ヴァスガイド(Vas Guide)」を発案・開発しました。

【Vas guideの技術的特徴と優位性】
革新的設計:細径ステンレス構造(リユース可能)を採用し、先端の「把持孔」と末端の「テープ孔」を備えた二孔構造が、術者単独でのスムーズな血管確保を実現します。

普及実績:2023年6月にPMDA承認(クラスI)を取得後、2024年8月に国内販売を開始。
2026年5月現在、全国120施設超で導入されており、泌尿器科のみならず消化器外科・呼吸器外科など外科全般へ適用が拡大しています。

理想的な知財運用:特許・意匠権(登録3件)・国際特許(PCT)のすべてを徳島大学が単独保有。特定企業への依存を防ぎ、柔軟なライセンス契約を軸とした戦略的医工連携体制を構築しています。

【学術・社会的評価】
その独創性と医療現場への貢献が高く評価され、数々の賞を受賞しています。

• 2024年: 日本泌尿器内視鏡・ロボティクス学会 総会賞(最優秀賞)

• 2025年: 日本泌尿器科学会 総会賞(最優秀賞)

• 2026年: 内閣府 日本オープンイノベーション大賞 科学技術政策担当大臣賞

• 2026年: Medtec Japan イノベーション大賞 大賞

• 2026年: 全国発明表彰 発明賞(第一表彰区分)

アシステントガイドおよびアシステントガイドショート
アシステントガイドは、ロボット支援体腔内回腸導管造設術における尿管ステント留置を安全・円滑に行うためのデバイスです。また、アシステントガイドショートは、女性における尿管ステントの留置を円滑に行うためのデバイスです。

【発案・開発の経緯】
ロボット支援体腔内回腸導管造設術における複雑なステップとして、回腸導管に尿管ステントを通す操作があり、各施設において様々な工夫がなされています。これには、主に2つの手法が知られています。その1つは、console surgeonが回腸導管に逆行性にロボット鉗子を通す手法です。触覚のないロボット鉗子を回腸導管に通すこの手法は、エキスパートならばさほど難しい操作ではないが、ビギナーにとっては危険を伴う操作です。もう1つは、patient side surgeonが回腸導管に逆行性に吸引管を通す手法です。この手法は、ビギナーでも比較的安全に施行可能です。しかし、吸引管は専用デバイスではなく、①吸引管先端が扁平で回腸導管内の輪状ヒダにひっかかりやすい、②吸引管先端には側孔を含む複数の孔があるため、ガイドワイヤーやステントが側孔に通ってしまう、③持ち手がなく操作性が悪いなどの問題点がありました。そこで、patient side surgeonが操作する、誰もが安全・円滑に尿管ステントを留置できるデバイスの開発に取り組みました。

【アシステントガイド】
アシステントガイドという名前は、尿管ステントの留置を安全・円滑に行うためのアシスタントとして重要な役割を果たして欲しいという願いに由来しています。全長390 mm、内径4 mm、外径5 mmのステンレス製のデバイスであり(図1a)、①先端が鈍・盲端で、導管内へやさしくスムーズに挿入できる(図1b)、②出口孔を側面に設けることで口径が大きくなり、patient side surgeonが容易に操作できる、③グリップにはローレット加工を施し、高い操作性をほこる(図1c)、という特長を持ちます。また、デバイスに設けられた10 mm毎の目盛りで、腸管などの長さを体腔内で測定することができます。

図1 アシステントガイド

アシステントガイドを用いた尿管ステントの留置に関する手術動画は右のQRコードから視聴可能です。

また、全長 160 mmのアシステントガイドショートも同時に開発しました(図2a)。
女性の尿管ステント留置において、閉塞部位の抵抗が強い場合、ステントの留置が困難となります(図3a)。このとき、無理に挿入しようとすると、膀胱内でガイドワイヤーやステントがループを形成し、留置がさらに困難となることがあります(図3b)。このような場合にアシステントガイドショートを用いると、先端の独自の形状(図2b)が尿管口にぴったりフィットし、ループ形成を防いで効率的に力が伝達され、留置が容易になります (図2c)。

【参考文献】
Sasaki Y, Takahashi M, Fukuta K, et al. Assistent guide: A novel device for ureteral stent placement in robot-assisted intracorporeal ileal conduit. Int J Med Robot. 2023 Aug;19(4):e2513. doi: 10.1002/rcs.2513.

図2 アシステントガイドショート

図3 尿管狭窄部で抵抗が強く、尿管ステントの挿入が困難な場合

アシステントガイドショートを用いた尿管ステントの留置に関する動画は右のQRコードから視聴可能です。

【本製品の発案から販売までの過程】
2021年1月、PMDAクラスⅠの医療機器として承認を得ました。2021年3月、臨床での使用を開始しました。2021年10月、販売を開始しました。

【参考文献】
Sasaki Y, Takahashi M, Daizumoto K, et al. Assistent guide short: A new device for facilitating ureteric stenting in women. Int J Urol. 2023 Nov;30(11):1051-1052. doi: 10.1111/iju.15252.