①前立腺肥大症とは
前立腺は男性の膀胱の出口に接するように位置する臓器で、中央の尿道が貫いています。機能的には精液の液体成分の一部を担っています。正常の大きさは約18gで、加齢とともに大きくなります。前立腺肥大症とは、前立腺肥大と下記のような症状を呈する進行性の寮生疾患です。
②前立腺肥大症の症状
頻尿、夜間頻尿、尿勢低下、排尿時間の延長、残尿感、排尿困難感、終末時滴下、尿意切迫感など様々な症状があり、症状が重なっています。一般的に前立腺の大きさが大きいと症状が強いことが多いですが、膀胱への突出の程度や神経など様々な因子が影響することがあり、前立腺の腫大があっても無症状であったり、小さくても症状が強い人もいます。
重篤な合併症としては、尿閉や肉眼的血尿、膀胱結石、繰り返す尿路感染症があります。
③前立腺肥大症の診断
まずは一般的な診察(問診、尿検査、身体所見)を行い、質問票(国際前立腺症状スコアIPSS, QOLスコア)で症状の重症度を判定します。また、尿流測定、超音波検査、残尿測定などの検査を行い、排尿機能と前立腺の評価を行います。
前立腺癌との鑑別のため、直腸診やPSA(前立腺特異抗原)の採血を行うことがあります。
④前立腺肥大症の治療
前立腺肥大症は良性疾患のため、なるべく侵襲の少ない治療が選択されます。
薬物療法などの保存的治療で不十分な場合、手術療法が考慮されます。
- 保存的療法
薬物療法や、生活指導があります。生活の改善としては、過度な水分摂取の制限、アルコール・カフェインの制限、便秘の改善、適度な運動、禁煙、体重減少などがあります。
〇薬物療法
前立腺や膀胱の出口を緩めるα1遮断薬やPDE5阻害薬、前立腺を小さくする5α還元酵素阻害薬、漢方薬などがあり、組み合わせて使用する事もあります。
頻尿や尿意切迫感がある場合、過活動膀胱の薬剤を使用・併用する場合があります。
それぞれ副作用や効果が異なっており、また、持病や服用中の薬剤によっては使用できない薬剤もありますので、担当医と相談し、内服薬を決めていきます。
〇手術療法
以前は開腹で前立腺をくりぬく手術が行われていましたが、現在はほぼ行われていません。
現在は尿道から金属の機器を挿入し、前立腺を内部から切除する手術が腫瘤となっていま最も標準的なの方法はTUR-P(経尿道的前立腺切除術)です。最近ではレーザーを用いたHoLEP(ホルミニウムレーザー前立腺核出術)やPVP(光選択性前立腺蒸散術)などの方法もあります。当院ではHoLEPを行うことができ、大きな前立腺でも出血や時間が少なく行うことができます。
PVPは当院では実施していないため、希望があれば関連病院への紹介が可能です。