お問い合わせ
患者さまへ
診療案内外来スケジュール表泌尿器科の病気、治療について研究に関する情報公開
学生・研修生の皆さまへ
入局希望者の方へ入局者募集要項入局後の進路について専門研修プログラム
教室案内
医局員紹介研究内容外来統計入院・手術統計関連病院紹介学会・交流会
お知らせ TEKKの会 リンク お問い合わせ HOME
小児泌尿器科診療について

こどもの泌尿器科疾患は、大人と異なり癌や尿路結石の疾患はまれで、先天的な疾患が大部分を占めています。生殖器の疾患として、停留精巣、包茎、陰嚢水腫、尿道下裂、精索静脈瘤などの病気があります。腎尿路系の疾患としては、膀胱尿管逆流症、腎盂尿管移行部狭窄症、巨大尿管症、尿管瘤、夜尿症(おねしょ)、昼間尿失禁などがあります。2002年から泌尿器科の疾患を持つお子様のために、専門の外来を開設しています。

当科では主に下記のような疾患を診察、治療しています。

(停留精巣)

出生時に陰嚢の中に精巣がなければ、停留精巣の可能性があります。出生時に停留精巣でも、生後3-6ヶ月の間に、自然に陰嚢の中に精巣が下降してくることがあります。陰嚢内は体温より、1-2℃程度温度が低く、この温度環境が精巣には適していますが、精巣が陰嚢より上にあれば温度が体温と同じになり、その温度環境では精子を作る細胞に悪影響がでてきます。そのため、精巣を陰嚢内に固定する手術を、生後6ヶ月から18ヶ月くらいまでに行うのが良いと考えられています。当科でも、生後1歳前後を目安に手術を行っています。

停留精巣は、診察時に鼠径部と言われる下腹部に触ることが多いですが、外来での触診やエコーでも精巣位置がわからない場合があり、これを非触知精巣と言います。この場合、MRIにて精巣位置を確認したり、腹腔鏡検査で精巣位置を確認する手術を行います。

小さなこどもに手術をするのは抵抗があるかもしれませんが、時期が遅くなって固定すると、精巣の機能が低下し、回復しない可能性が高くなってきます。

 手術は2-3日の入院で行っています。

(包茎)

日本では、出生時に、おちんちんの余分な皮膚に何も処置を加えていないので、基本的にみんな包茎の状態です。また小さなこどもでは、包皮の内側と亀頭の間に、生理的に癒着があるので、包皮を完全にむこうとしても、亀頭全体は露出しません。その生理的癒着部に、白色調の塊(垢)ができることがあり、恥垢といいます。これを陰茎に腫瘤ができたと思い、外来に連れてこられることもありますが、垢の塊ですので、心配はありません。この恥垢が生理的癒着部をはがす働きがあると言われています。

包茎は、思春期頃から自然に包皮が剥けてきますので、基本的に治療は必要ありません。しかし、包皮の口が針穴のように小さく排尿時におちんちんの先が風船にように膨らんでから包皮の口からおしっこが出る場合、おちんちんの先が赤くなったり、膿が出て痛がったりする亀頭包皮炎をしばしばおこすようであれば、治療が必要です。

治療は、当科ではまずステロイドを含む軟膏を約4週間、包皮の先端に塗っていただきます。そうすることで、90%くらいのお子さんのおちんちんの包皮がむけるようになります。それでも問題のあるお子様には包皮の口を広くして、見た目が他のお子さんとあまり変わらないような手術を行っています。

(陰嚢水腫)

陰嚢がボール状の大きく腫れてしまっている状態です。中は淡い黄色の液体が充満しています。これはおなかの腸などを包む腹膜と陰嚢とがつながっているために、腹腔内の液体が陰嚢の中に流れてくるためにおこってきます。このつながりは自然に閉鎖してしまうことが多く、多くのお子さんには手術が必要ありません。液体が陰嚢の中にたまっているからといって容易に針で抜くのは良くないとされています。翌日には同じように陰嚢は再度腫れてきます。

3歳前後になっても同じ状況であれば、このつながりが自然に閉鎖してしまう可能性は低く、陰嚢腫大の程度が強ければ手術をしたほうが良いでしょう。

手術は鼠径部を2 cm程度切開し、腹腔内とつながっている腹膜の続きを切断し、閉鎖します。1泊2日、あるいは2泊3日の入院で手術を行っています。

また同じように陰嚢が腫れる病気には、脱腸(そけいヘルニア)といって、腸管が陰嚢に降りてくる病気もあります。その場合は手術が必要なので、その鑑別が必要です。陰嚢水腫で経過観察しているお子様に脱腸(そけいヘルニア)を合併してくることもあるので、あまり痛がったり、赤く腫れたりしているようなら、緊急の受診が必要です。

(尿道下裂)

外尿道口というおしっこが出る口は、亀頭の先端に開いていますが、尿道下裂では、尿道がうまく形成されなかったために、陰茎の裏側(腹側)に尿道口が開いて、そこからおしっこが出るために、立位での排尿がうまくできません。尿道下裂の特徴は、包皮が陰茎の背側に余剰にあり、腹側(尿道側)にはほとんど形成されていません。また陰茎が腹側に曲がっており、将来的に性交渉がうまくいかない可能性があります。

そのため、陰茎をまっすぐにし、おしっこが出る口を本来ある亀頭部にもってくる手術を行います。通常1歳ごろから手術が可能になってきます。手術は高度で、非常に繊細です。術後は尿道カテーテルを10-14日間留置し、その間は入院で管理をしています。

おちんちんの一部の皮膚を使って新しい尿道を作るので、新尿道に血流の悪い部分ができ、新尿道の一部に小さな穴(尿道皮膚瘻)が出現する合併症が、最も頻度の高い合併症になります。尿道皮膚瘻が出現すれば、最初の手術から6ヶ月以上あけて、修復する手術を行います。

(膀胱尿管逆流症)

この病気では、蓄尿時、あるいは排尿時に、尿が尿管や腎盂へと逆流します。これにより、膀胱内に入った細菌が、容易に尿管、腎へと上がってしまうために、高熱をきたす腎盂腎炎を繰り返す場合があります。尿路感染は尿検査によりわかりますが、繰り返す尿路感染の最も多い原因となっているのが、この膀胱尿管逆流症です。

診断は、排尿時膀胱尿道造影にて行います。この検査は、尿道から細いカテーテルを挿入しますので、少し痛い検査になりますが、この病気をきちんと診断することが大事です。膀胱尿管逆流症により腎盂腎炎を繰り返すと、腎臓に瘢痕といって、腎臓が働かなくなる部位が出現してきます。これを繰り返すと、腎機能が次第に低下し、最終的に透析が必要になる場合があります。

この病気は、自然に治っていく場合もあり、まずは少量の抗生物質を内服し、腎盂腎炎を予防しながら経過を見ていきます。少量の抗生物質を内服していても腎盂腎炎をおこしてしまう場合、5年以上経過しても改善しない場合、初診時でも病気の程度が高度で腎臓に瘢痕がある場合などは手術が必要になります。手術は、尿管と膀胱をつなぎ直します。開腹術が標準的ですが、体重が約15 kg以上のお子さんには、腹腔鏡下手術を行っており、傷が小さく、術後の痛みが少ないです。また切開せずに膀胱鏡下に尿管口の下にヒアルロン酸を注入する方法も保険適応になっています。約7日間の入院が必要です。

(水腎症、腎盂尿管移行部狭窄症)

腎臓で作った尿が尿管や膀胱へとうまく流れなければ、腎盂に尿がたまって腫れてきます。これを水腎症と言います。この水腎症は、エコーで診断することができます。この水腎症をおこす、こどもで最も頻度の高いのが、腎盂と尿管の継ぎ目が、狭くなっている腎盂尿管移行部狭窄症です。

腎盂尿管移行部狭窄症も自然に改善していくことが多く見られますが、逆に腎機能が低下したり、痛みなどの症状の原因になったりすることもあります。

重要な検査として、腎機能や腎盂から尿管への尿の流れを見る腎シンチという検査があります。点滴と尿道バルーンカテーテルを挿入し、約2-3時間の比較的長い検査となります。小さなお子さんには鎮静が必要です。

水腎症のある腎臓の機能がすでに低下していたり、経過観察中に低下したり、痛みが出てきたりすれば、狭窄部を切除して腎盂と尿管を新たに吻合する腎盂形成術という手術が必要です。腹腔鏡下の手術も行っていますが、小さなお子さんには開腹術で行っています。

(夜尿症)

ご両親は、焦らず、怒らないことが非常に大事です。こどもは精神的にストレスを感じています。おねしょだけであれば、自然に治ることが多く、8歳頃から検査や治療を始めるので良いと考えられています。しかし、昼間にも、おもらしをしたり、頻尿だったり、尿意切迫感などの症状があれば、5-6歳からでも、検査をしたほうが良いと言われていますが、これは神経因性膀胱などの膀胱の病気や尿道の狭窄など、何か病気が隠れていることがあるからです。

そのため、当科では、腎膀胱エコー検査、尿検査、尿流計検査および残尿測定、早朝尿検査、排尿日誌記録などでまず評価を行います。膀胱尿道造影や膀胱内圧測定など、カテーテルを尿道に挿入する痛みを伴う検査が必要なこともあります。

治療は、生活習慣や排尿習慣を変えることで夜尿症が治ることがあります。また便秘は昼間の尿失禁や夜尿に影響する場合がありますので、便秘の治療が必要です。通常の夜尿症の治療法には3つあり、尿意切迫間や昼間の尿失禁がある過活動膀胱には抗コリン剤という膀胱の筋肉をリラックスさせる薬剤を投与します。抗コリン剤の副作用には便秘や口渇があります。また夜間多尿の場合には、抗利尿ホルモンの内服があります。また下着にアラームを装着し、夜中にアラームが鳴った時に、排尿に行くアラーム療法という治療法もあります。これらの治療を、病状を考え、ご両親と相談しながら決定していきます。夜尿症は短期間で治ることが難しいため、あせらず時間をかけて治療することが必要です。

一覧へ戻る
徳島大学大学院 医歯薬学研究部
泌尿器科学分野
所在地
〒770-8503
徳島県徳島市蔵本町3丁目18-15
© 徳島大学大学院 医歯薬学研究部 泌尿器科学分野