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女性泌尿器科について

 女性の排尿に関するトラブルや膣から膀胱や子宮などが脱出する骨盤臓器脱といった疾患を診療しています。代表的な疾患として、腹圧性尿失禁、過活動膀胱、骨盤臓器脱、間質性膀胱炎などがあります。いずれも生命に直接かかわる疾患ではありませんが、女性のQOLを非常に低下させてしまうものです。恥ずかしさから他人には相談しにくい方や、どこを受診したらよいかわからない、といった方も多くいらっしゃいます。

徳島大学では、毎週1回金曜日に「女性外来」を開設して、こういった疾患や女性医師の診察を希望される患者さんを対象に診療を行っています。

尿失禁(尿漏れ)

 尿失禁(尿漏れ)は、40歳以上の女性の2-3人に1人が経験している頻度の多いものです。女性に多い尿失禁には、腹圧性尿失禁、切迫性尿失禁、両者の混合型があります。

腹圧性尿失禁はくしゃみや咳、スポーツなど腹圧が加わった時に尿が漏れてしまう病気です。妊娠、出産の際に骨盤底の筋肉群や尿道を支える支持組織が損傷を受け、加齢とともに脆弱化することが原因です。治療法は、骨盤底筋を鍛える骨盤底筋体操が有効です。正しい方法で毎日継続すると2-3カ月くらいで効果が出始めます。しかし上手く骨盤底筋群に力を入れられない、毎日体操継続することが難しいという方もいらっしゃいますので、当科の女性外来では丁寧に指導しています。ダイエットも有効です。薬物療法は、あくまで骨盤底筋体操の補助的役割となります。程度が重症な方には、中部尿道をポリプロピレンメッシュのテープで支える尿道スリング手術を行っています。恥骨の後面にテープを通すTVT(Tension-free vaginal tape)手術と閉鎖孔にテープを通すTOT(transobturator tape)手術があり、患者さんの状態を考慮して、術式を選択しています。治療後6週間は腹圧をかけたり性交渉は控えてもらう必要がありますが、侵襲も少なく、治療成績も良好です。

切迫性尿失禁は、急激におこる我慢が難しいような強い尿意(尿意切迫感)とともにトイレに間に合わずに漏れてしまう失禁です。トイレのドアの前で漏れてしまったり、水に触れると漏れてしまうといったものが切迫性尿失禁です。尿意切迫感を必須症状とし、しばしば頻尿、切迫性尿失禁を伴う症状症候群を「過活動膀胱」と定義されています。有病率は高く、本邦では40歳以上の12.4%、1,100万人以上が有していると報告されていますが、年齢のせいだからとあきらめたり、羞恥心なども影響して、受診率は低いのが現状です。朝起きてから翌日起きるまでの24時間、何時に何ccの排尿量があったのか、どのくらいの水分を摂取したのか、尿意切迫感や尿失禁がみられたのか、ということを記録する排尿日誌を3日間程度つけていただくと、排尿状態がよくわかります。この日誌から水分摂取量や排尿状態を把握して、水分やカフェインをとりすぎている人には摂取制限を勧めます。また、膀胱訓練(尿意を感じてもすぐにトイレに行かず、排尿まで我慢する練習)や骨盤底筋体操も有用です。

薬物療法は非常に有効で、β3受容体作動薬(膀胱を弛緩させるお薬)と抗コリン剤(膀胱の収縮をおさえるお薬)があります。抗コリン剤には、口渇、便秘、眼圧上昇などの副作用があり、注意しながら治療を行っています。薬物療法で十分な改善がない重症度の高い患者さんには、排泄に関係する神経に持続的に電気刺激を与える仙骨神経刺激療法も保険適用があり、当院でも行うことができます。

 間質性膀胱炎は、蓄尿時の下腹部痛、膀胱部痛、頻尿などを症状とする疾患です。尿検査やエコーなどでは異常がないことが多く、病院を受診しても「気のせいでしょう。」などと言われてしまい、ドクターショッピングを繰り返している患者さんもおられます。症状が強い患者さんは疼痛が強く、1回排尿量は100ml未満、1日排尿回数も20回以上となり、外出さえもままならなくなっています。症状からまずこの疾患を疑い、膀胱鏡を行うとハンナ病変と呼ばれる膀胱粘膜の特徴的な発赤や潰瘍を認めることがあり、ハンナ型の間質性膀胱炎と診断しています。治療は、ハンナ病変の電気やレーザーによる焼灼が有効です。重症なハンナ型間質性膀胱炎は難病にも指定されています。

ハンナ病変を認めない場合は、麻酔下での膀胱水圧拡張術を行うと膀胱粘膜から点状出血や五月雨状出血などがみられます。この水圧拡張が治療に有効ですが、半年くらいで再発することも多い疾患です。抗うつ薬や鎮痛薬、抗アレルギー薬などの内服治療で症状の改善を目指しています。また、ストレスの緩和や刺激物の摂取を避けることも有用であり、生活指導も大切です。

ハンナ病変

 骨盤臓器脱は、膣から膀胱や、子宮、直腸といった骨盤内臓器が下垂してくるいわゆる膣のヘルニアです。夕方になると膣からピンポン玉のようなものが飛び出してくる、股の間に何かはさまっている、お風呂で体を洗っていると股の間に何かが触れるなどといった症状があります。膀胱が下がってくると排尿困難や頻尿になったり、直腸が下がってくると排便困難などが起きることもあります。膣を支持している筋肉、筋膜や靭帯の損傷により生じます。分娩が最大の危険因子となっており、加齢や肥満なども大きな原因です。保存的治療には、骨盤底筋体操やペッサリー挿入があります。ペッサリーは自己着脱の指導も行っています。手術には複数の術式がありますが、年齢が若く、性交渉がある方には腹腔鏡下仙骨膣固定術を行っており、良好な成績が得られています。患者さんの状態や臓器脱の状況によって、従来法(膣式子宮摘出術+前後壁の膣壁形成術)やTVM(Tension-free Vaginal Mesh)を選択することもあります。

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徳島大学大学院 医歯薬学研究部
泌尿器科学分野
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